冷たい彼-初恋が終わるとき-




腰を下ろした私達はどちらからともなく抱き合った。


辛いのはお互い様なのである。ならお互いにこの関係を利用するしか無いのだ。


ギュッと抱き締めれば、桐生君も眉尻を下げて私の背中に手を回す。お互いで求め合うように、くっついて離れない。



「…何で一人で泣いてんだよ。バカじゃねえの」

「な、泣いてないよ…っ」

「…ほー」

「う、」



探るような目を向けてくる桐生君から逃れるため、胸元に顔を押し付けた。目が真っ赤だから誤魔化せない。


桐生君に抱き締められると平均よりも小さい私はすっぽりと腕に収まる。



「…泣くなら俺の腕の中で泣け。それとお前を泣かしていいのは俺だけだ。勝手に泣いてみろ。ぶん殴る」

「や、やだ…っ」

「…間に受けるなバーカ。女は殴らねえ」



腕の中でもぞもぞと動き頭を抱える私をバカにした。


紳士的な発言に私は何とも言えない。ジト目で桐生君を見上げる。



「…んだよその目。生意気じゃねえかブス」

「い、いひゃいでふ」



頬をつねられて不細工に磨きがかかったと笑われた。