「(あ、そう言えば、)」



桐生君と初めて会ったときもこんな感じだったと思い返す。


授業をサボるのはあれ以来。またサボる事になるのか。あの日のように、弱い私はまた逃げようとしてる。


階段を登るにつれて沸き上がる自分自身への憎悪に、胸元で両手をギュッと握り締めた。


何て私は醜くて、幼いの。好きな人の幸せすら望めないなんて。嫌な女にも程がある。こんな汚い感情、消したいのに。どうしても、忘れられないよ。