「桐生君って意外と手、大きいね」
「…意外って何だ。俺がデカイんじゃねえ、お前が小さいんだよ。見た目小学生が」
「…あああ、あああ…」
「…泣くな。睨むな。言いたいことあるならはっきり言え」
涙を溜めながらぷるぷる震える。そして思いっきり睨み付けた。わなわな震える唇からは言葉にならない声が。桐生君は私を可哀想なものを見る目で見下ろしてくる。
見た目小学生。それは私の禁句。小学生のような体型はコンプレックスだった。150cmと小さい身長に凹凸のない体。本当に、小学生みたい。
ずーんと凹む。
「私、男の子と手を繋いだこと無いから…」
ショックを受けつつも、やっぱり桐生君の手の大きさには驚いた。繋がれた手をまじまじと見つめる。
男子と手を繋ぐなんて小学生以来。春の遠足で隣の男子と手を繋いだ記憶しかない。桐生君みたいな超絶美形じゃなかったし、花より団子みたいな子だった。小学生と言うこともあって、こんなに意識することもない。
だからこうやって指を絡めるだなんて初めての体験だ。

