「わ、私、人見知りなの。人前で話すのとかスゴく苦手で。グイグイ来られるのとかも苦手で、桐生君みたいにチャラい人も苦手で…」
「チャラくねえよ」
心外げに睨まれた。
だから慌てて首を振って否定する。
確かに怖い。怖いけど。
「桐生君は、優しいから。
勝手なイメージだけで思ってただけで、今はそんなことないよ」
そう言えば素っ気なく顔を背けられた。
どうしたんだろう?ーーーあ!
「て、照れてる?」
「調子に乗んなブス」
期待に溢れていたキラキラした目には"ぶわっ"と涙が。ううう。酷い。
でもなんだかんだこうして歩いてる間も、私の歩幅に合わせて歩いてくれる桐生君。確かに迎えに来られたときは驚いたけど、嬉しかった。
教室では彫刻みたいに美しい桐生君に誰もが見惚れていた。誰彼構わず虜にしてるようにも見えるけど、桐生君には私のように本命の人がいるんだよね。
桐生君に想われてる女の子って、誰なんだろう――?

