桐生君に手を引かれるまま、校舎を出る。 外に出るまでの間も注目された。今も指を差されてこそこそと話す女の子を見つけてしまう。 「…視線が痛い」 困ったように肩を竦めれば、桐生君は人を小馬鹿にするように鼻で笑った。 その横顔は何だか妖しげな魅力がある。 私は小田切君一筋だったけど、桐生君がモテる理由が分かった気がする。これは女の子が騒ぐわけだ。それでも私は小田切君のほうがーー 「(あ、考えちゃだめだ)」 忘れるために桐生君の隣にいる。 今の私は桐生君だけを見れば良い。