「桐生君!椎名さんのどこが好きなの!?」 いきなりそんなことを聞いてくる女の子を無表情でちらりと見て、すぐ目を逸らす桐生君。しかし、ふと何かを考えてゆっくりと唇を開いた。その対応は珍しい。話しかけても無視されるって嘆く子が多いのに。 「…しいて言うなら、俺の気持ちを理解してくれるところ」 今のは簡単な言葉に聞こえそうだけど、そうじゃない。 それを言うなら私だってそうだ。 虚しくなってさっさと教科書を鞄に詰める。