「ごめんなさい」

「ええ!?花霞ちゃん来ないの!?珍しー!」

「いつもだったら絶対一緒に行くのに!」



驚く星絆ちゃん達とはよくバスケ部を見学しに行っていた。


皆もまた小田切君が好きなのだ。私は、きゃあきゃあ騒ぐ皆の後ろでこそこそ隠れながら小田切君を見つめていた。
そう、彼からすれば私はただの"ファン"にしかすぎなかった。


あの煩い声援も小田切君からしたら鬱陶しいものこの上無かったと思う。それでも私は彼の応援を欠かさなかった。


そう言えば、胸元で両手を握り締めて静かに小田切君を見守る女の子を見たことがある。


今思えばあれが如月さんだったんだろう。健気な目で彼を見据えていた。煩くする"ファン"と、健気な如月さん。なんだか全てに置いて負けたような気がした。



「なら今度は一緒に行こうね!あと次の練習試合の日程が分かったんだけど、花霞ちゃんも来るよね?」



いつもならここで頷いていた。


でもーーー



「ご、めん。
私はもう、そう言うのは止める」



私はもう彼を追わない。


追いかけるのは止めにするんだ。