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廊下ですれ違うたびに私は独り、意識して俯いてしまう。
彼と出逢ったのは、約一年半前。高校一年生のとき。と言っても私だけが特別に彼を見たわけではなく、皆の目に彼が映っていた。
首席合格した彼は入学式のとき答辞を読み上げたの。
「か、花霞ちゃん!あの人めっちゃ格好良くない!?」
同じ中学出身の星絆(せな)ちゃんが興奮気味に私の腕を掴んでくる。
「やばい!超タイプ!花霞ちゃんもそう思うでしょ!?」
「ーーーう、ん」
「花霞ちゃん?」
坦々と読み上げる彼に目を奪われた。
たまに照れ臭そうにはにかむ彼に胸が高鳴る。
勿論、私の他にも赤面してる女の子達は沢山居た。
彼がこの学校で人気を博するにはそう時間は掛からず、今では彼を知らない人はいない。
一年生の頃から私はずっと彼だけを見てきた。
いわゆる、私の一目惚れ。