手首を掴まれた手が緩んで咄嗟に振り払った。


握り締めたスカートの裾がクシャリと皺を作る。


私は、聞かれたと言う後悔と、知られたことへの負い目、そして失恋したことの悲しみから、このまま、感情の波に溺れそうだった。



「…お前、椎名だろ?」

「…っ」

「…椎名、花霞」



否定も肯定もせずに押し黙って肩を震わせる。