すこし間違った道に進んでしまってはいただろう。互いの傷を舐め合うために付き合った、だなんて。でも、あの過去があって今、私達は寄り添えていられる。


ありがとう、小田切君。
貴方が初恋の人で良かった。
ありがとう、如月さん。
貴女がいてくれたお陰で前に踏み出せた。


ありがとう、桐生君。
桐生君のお陰で、私は救われた。


重なる唇の温もりを感じて、私は桐生君を抱き締め、桐生君に抱き締められながら、胸のなかで呟いた。
きっと、伝わったよね。








ーー大好きだよ、蓮。




【完】