13
いつしか俺の中にはあの女がいた。
相変わらず、霞んだ花のような女が。
認めたくなかった。
嫌だった。
こうも、愛おしくなるなんて。
もう傷付きたくなかった。
まだアイツを想う俺がどこかにいる中で、殻を破り捨てるのを拒絶した。
「もう逃げるのは止めにしよう」
だが認めてしまえば、すとんと心が軽くなる。
その時脳裏を過ったのは幼き頃の記憶。
『蓮だーいすき!』
『俺も、すき』
あれから十年。
やっと気持ちに終始符を打てる。
煩わしかった恋心は今では穏やかで、心地良い。
まだ幼いふたりで歩いた道は、呑み込まれるほど広大で自由になれる、青空の下。
「桐生君が好き」
かつて見上げたあの空は、
今日と同じ空だった。
いつしか俺の中にはあの女がいた。
相変わらず、霞んだ花のような女が。
認めたくなかった。
嫌だった。
こうも、愛おしくなるなんて。
もう傷付きたくなかった。
まだアイツを想う俺がどこかにいる中で、殻を破り捨てるのを拒絶した。
「もう逃げるのは止めにしよう」
だが認めてしまえば、すとんと心が軽くなる。
その時脳裏を過ったのは幼き頃の記憶。
『蓮だーいすき!』
『俺も、すき』
あれから十年。
やっと気持ちに終始符を打てる。
煩わしかった恋心は今では穏やかで、心地良い。
まだ幼いふたりで歩いた道は、呑み込まれるほど広大で自由になれる、青空の下。
「桐生君が好き」
かつて見上げたあの空は、
今日と同じ空だった。