「…ねえ、桐生君」 「…何だよ」 情けないほど声が震える。でも私の背を如月さんが押してくれたように、私が今度は桐生君の手を引きたい。 いつまでも過去に囚われて立ち止まっていたら、幸せなんか来ないよ。 前に進むためにも私は敢えて桐生君に現実を突き付ける。 「もう逃げるのは止めにしよう?」 目を逸らすのはもうおしまい。 私も、桐生君も。 「桐生君、別れよう」 パキリと音をたてて刻まれたヒビは、私達の繋がりなのか、自分を守っていた殻なのか。