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一人風に触れる。“彼”を呼び出してから屋上にきた。


風の冷たさが肌を刺す。まるで真冬を思い起こさせるような鋭い冷たさ。日差しは明るいのに、カーディガン無しでは肌寒い。もう、12月だ。


思えば、私は逃げてばかりいた。


嫉妬が怖くて、小田切君に近付けなかった。


話し掛けるタイミングもあったのに、やっぱり怖くて一歩も踏み出せなかった。


小田切君と如月さんが付き合ってると聞いて、目を逸らした。


二人が寄り添ってるのが嫌で見ないようにしていた。


ーーフラれるのが怖くて、傷付くのが嫌で、現実から逃げて、桐生君に縋っていたのだ。


でも、もうそれも今日でおしまいにしようと思う。


弱い自分と、別れたい。