「私の名前知ってるんだね。じゃあ蓮の幼なじみってことも?」

「…は、い」

「そっか!じゃあ改めて、如月日莉です。よろしくね!」

「…よ、よろしくお願いします?え、と。私は、」

「椎名花霞ちゃんでしょ?知ってるよ!」




いつも私が遠目で見てきた如月さんは静かで優雅に微笑む女性だった。


でも私の前にいる彼女は活発的で、とても明るい印象を受ける。抱いていた大和撫子なイメージが崩れた。


私は、声を出して笑う如月さんに唖然とする。人は見掛けで判断しちゃいけないと改めて思った。


それにしても何故、私に話し掛けたのか。




「え、と。如月さん、は、私に何か用ですか?」




心の中では沢山呼んできた名前。


本人の前で口にするのは初めてで少し躊躇してしまった。



「蓮と付き合ってる女の子に会いくて、教室まで押し掛けちゃった !」




にこりと笑う如月さんに、私は何とも言えず苦笑い。


この締め付けられるような感覚は、彼女が桐生君を蓮、と呼んだからだと思う。