「蓮は好きな人のことを諦めてはいないよ」 「…っ」 「その“好きな人”は君じゃない」 如月さんのことを言ってるのだろう。確かに落合君の言ってることは事実だ。 桐生君は、如月さんのことを決して忘れてはいない。ずっと心の中で彼女を求めている。 だからあんなにも複雑そうな瞳で小田切君と並ぶ姿を見つめているのだ。 悔いるように、見守るように。 口出しをせず遠目で眺めている。 まるで逃げるように私の腕を掴んで顔を背けた光景が瞼の裏に焼き付いている。