「…ぽっかり空いた胸を埋めるのに、適当な女を使ってたんだ。でも、違う。お前は、抱けない」 「…え」 頭が真っ白になった。 でも頬を撫でる優しい指に戸惑う。 「…大事に、したいから」 他の女とは違う。 そう呟かれて、触れるだけのキスを一つ。 その温もりに何故か泣きそうになる。 「…今はこれで充分だ」 掠れた声に、唇が震えた。