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冷たい部分も見えるけど桐生君は、優しい。それは見えない優しさだ。


キツい言葉とは逆に、私に触れる指はまるで壊れ物を扱うようにソッと触れてくる。慰めてくれるときは、私が離れるまでずっと抱擁してくれる。


それは互いの境遇が似ているから、同情しているだけかもしれないけれど。彼女という存在を慮っての事なのかもしれないけど、素直に桐生君は優しいと思った。


今も、さりげなく車道側を歩いてくれている。



「…さっきから何見てんだよ」

「ぅえ!?」

「…じろじろ見られすぎて穴開く」



ば、バレてた!


慌てて目を逸らす。



「ご、ごめんね?」

「…ブスからガン見とか吐くわ」

「ご、ごめん」



辛抱な言葉をいくつも頂きながら涙目で謝る。