知らないアイツに恋しました

出てから周りの電車のドアを見る...
が、堀田はいない。

ってなんで探してんだか。
やめた、やめた。
そして俺は帰り道を歩く。

「しょーうっ‼」

後ろから聞き覚えのある声がした。

「おぉ、千夏。」

こいつの名前は、
豊橋 千夏(トヨハシチナツ)。俺の幼馴染み。
まぁ、美人。明るい性格だから、俺も話しやすい。
小、中、そして、高校と全部一緒の腐れ縁だ。
学校では一番よく話す女子だったと思う。今はクラスが違うからあんまり話さない。
家も案外近く、俺が住んでいる住宅街の一番奥に住んでいる。
昔は一緒に帰っていたが今は時間が変わってくから、あんまり帰らない。

「最近、一緒に帰んないねー。」

「まぁな。俺は部活で忙しいからな。」

「そーだねぇ。どう?頑張ってる?」

「おぉ。そっちは?」

「うーん。やっぱ高校はむずい。」

千夏はお父さんがいない。
昔、不治の病にかかり、どこの病院からも見放されてそのまま、亡くなった。
俺もお父さんのお葬式に行ったが千夏は泣かなかった。
だから、そんな病気も直せるような、外科医になるために勉強中だ。
昔も今も、いろんなものを抱えているんだろう。
中学のころ酷い彼氏にもあたって、それから人を好きになってないらしい。
千夏はモテてるんだけど。
とにかく、俺が千夏を支えている。
俺がいないと、こいつは崩れてしまうと思う。

「ま、頑張れよ。じゃ。」

「ありがと。そっちもね。ばいばい。」

そして、俺は家にはいる。

ねみぃ。
今日は早く寝よ。