「…罪な男だな。」

「ハイ…。小さい頃からユウとずっと一緒にいたはずなのに、私はユウの気持ちにも、自分の気持ちにも気付かなくて…そんな私のことをユウは避けるようになって…。ユウは何も言わないで一人で決めて、ロンドンへ行ってしまったんです…。ロンドンに行ってからのユウのことは、私は何も知りません…。だけど、過去に誰と何をしていたか知らなくても、私の知ってるユウが、私だけのユウなんだから、それでいいんだって、自分に言い聞かせて…。」

「……そんなに無理しなくてもいいんじゃねぇか?聞きたいことは聞けばいいし、怒ったって責めたっていいんだ。新婚なんだから、今のうちにできるケンカはしとけばいいよ。そんな思いを押し殺してさ、この先何年も、言いたいことも言えないで一緒に暮らしてくのは、正直つらいだろ?」

「私、もう充分、ユウの過去を聞いて不安になって、悩んできました…。それでも、ユウはちょっとしたことで不安になって落ち込んで、悪い方へ悪い方へ考えちゃうから、できるだけユウを不安にさせないようにって思ってます…。自分が不安になることで、ユウを不安にさせるくらいなら、私は何も知らない方が幸せなんじゃないでしょうか…。」