新婚の定義──嘘つきな君と僕──

スタジオに入ると、アシスタントに入っていた後輩のルミが、ホッとしたようにレナに駆け寄ってきた。

「先輩!良かったぁ。もう、どうなることかと思いましたよぉ。」

「お待たせ。スタンバイは?」

「完了してます。」

「まだ時間ある?」

「コーヒーでも飲みます?」

「いや…そうじゃなくて…でもせっかくだからもらおうかな。急いで来たら喉渇いた。」

「どうぞ。」

レナはルミから缶コーヒーを受け取り、スマホを取り出した。

(一応、連絡だけはしないとね…。)


“急な仕事が入ったので遅くなります。
もしユウが早く帰ってお腹空いてたら、
冷蔵庫の中の料理を温めて食べてね。”


ユウにメールを送信して、コーヒーを飲む。

そして、スタジオ入りした今日の撮影の被写体となるその人を見て、レナは目を見開いた。

「え……?」

(音楽雑誌の撮影…。英語話せる人がいいんだって…。)

川田に言われた言葉を思い出しながら、レナはその人を見た。

(ケイト…。)