みんなが大騒ぎしている中、ユウは黙ってスタジオを出ると、缶コーヒーを手に戻って来て、レナに手渡した。

「なんか…騒がしくてごめんな…。」

「ううん、喜んでもらえて良かった。」

「レナがスタジオに来るの初めてだから、みんなはしゃいでるな。」

「そうなの?」

「うん。オレも嬉しい。」

二人が話していると、またメンバーたちが騒ぎ出す。

「そこ!!二人の世界禁止!!」

「ユウ、見せつけんな!」

「オレも高梨さんと結婚したい!!」

「あーちゃん、そろそろユウの顔は見飽きたでしょ?オレんとこにお嫁においでよ。」

「いや、あの…。」

「オマエらなぁ!!」

ユウはレナをメンバーから隠すようにして、レナの前に立った。

「オマエらが何言っても、レナはオレの妻だ、嫁だ、奥さんだ!!オマエらにはやらん!!」

(ユウったら…。)

ユウの後ろで、レナは顔を真っ赤にしてうつむいた。

「もういいから、早く始めようぜ。」

ユウは振り返って、レナの頭を撫でながら優しく笑う。

「行って来る。そこでゆっくりしてて。」

「うん、頑張って。」

ユウはレナから離れると、黙々とチューニングを始めた。

「やれやれだな。」

「ユウは奥さんには激甘だな…。」

トモとリュウが、ニヤニヤしながらユウを見ている。