レナの気持ちを思うと、ユウの胸は、しめつけられるように痛んだ。

「今は、ちゃんとわかってんだろ?」

「ハイ。もうあんな思いはさせません。」

「だったらそれでいい。もうレナを一人で泣かせるようなことはするな。」

「ハイ。」

(なんでもお見通しか…。)

ユウは改めて、ヒロの優しさに気付いた。

「そこでだな。レナが嘘をついて、オマエに秘密を作った。だったらオマエは嘘偽りのない、正直な気持ちを歌にしてみると言うのはどうだ?」

「へっ?!」

またしても唐突なヒロの言葉に、ユウは気の抜けた返事をする。

「結婚式の時に聞いたオマエの曲も良かったしな…。あの2曲に、新たな1曲を加えてCDを出すと言うことで。」

「いやいやいや…。あれはレナのために作った歌ですから…。」

ユウが慌てて首を横に振ると、ヒロはニヤリと笑ってユウを見た。

「それでいいんだよ。レナのために出すCDなんだから。」

「レナのために出す…?!」

「あのレナの歌な、タクミが作詞したんだが…あの時のレナの気持ちそのものだったろ?アイツ、かわいい顔して腹ん中ひねくれてやがるからな。おまけに頭がいい。人の気持ちもお見通しってわけだ。」

「はぁ…。」

(ヒロさんとタクミって親子じゃないよな?)