「オマエには秘密にしておけと言ったのはオレだが、まだまだオマエの知らないレナがいるわけだな。」

「そうですね…。」

ヒロはタバコを灰皿の上で揉み消して、まっすぐにユウを見る。

「そんなわけで、次はオマエの番だ。」

「ハイ?」

「ケイトとのことはケジメつけたのか?」

ヒロの言葉にユウは度肝を抜かれた。

あたふたしているユウを見て、ヒロはニヤニヤしている。

「オレが気付いてないとでも思ったか?ロンドンにいた頃から、オマエとケイトの関係くらいは気付いてたぞ。」

「えぇっ…。」

ユウは驚き言葉をなくした。

「で、どうなんだ?ハッキリさせたのか?」

「ハイ…。ツアーの最終日に、ケイトと話をしました。今までオレがハッキリした態度を取らなかったばかりに、ケイトもレナも悲しませるようなことになってしまったので…。」

ユウはポツリポツリと素直に話す。

「だよなぁ。結局、オマエはレナに甘えて、つかなくてもいい嘘までつかせて…レナがどんな思いで嘘をついたのか、ちゃんとわかったのか?」

「ハイ…レナがずっと無理して笑ってたことにもオレは全然気付かなくて、不安な思いばかりさせて…レナがなんにも言わないのは、昔のことはしょうがないと許してくれているものだとばかり思ってました。でもそれは、これ以上、知らなくて済むことは知りたくないって、レナが身を守るためについていた嘘だったんですね…。」