「えっ?!オレがですか?」

ユウはヒロの唐突な提案に戸惑っていた。

久し振りにヒロから個人的に呼び出され、何を言われるのかとビクビクしながら対面したのだが、思ってもいなかったソロデビューの話にユウは面喰らった。

「いやいや…。そもそも、オレはボーカルじゃないですよ?ソロならタクミの方が…。」

ヒロはタバコの煙を吐きながらニヤリと笑う。

「タクミじゃあ意外性の欠片もないだろ。」

「意外性…ですか?」

「オマエさぁ…なんにも言わないけど、気付いてんだろ?」

ヒロの言っている意味がよくわからず、ユウは首を傾げる。

「なんのことです?」

「オマエなら、一瞬で見抜くんだろうなと思いながら作ったんだけどな。」

「あっ…。」

それがレナの歌のことだとユウは気付く。

「そうだろ?」

「ハイ、まぁ…。」

「だよなぁ。で、どうだった?」

「どうだったと言われても…。」

(あんまり色っぽかったんで驚いたとか言えないしな…。当たり障りなくビックリしたとか言っとくか?)

「まぁ…驚きましたよ。何も聞いてなかったですし…。あのレナがよく引き受けたなと…。」

ユウの歯切れの悪い言葉に、ヒロはニヤリと笑う。

「めちゃくちゃ色っぽかっただろ?」

ヒロに図星をつかれて、ユウはあたふたと目線を泳がせる。

「ハイ…。」

ユウが小さく返事をすると、ヒロはおかしそうに笑った。