ユウの唇にそっと指で触れる。

(初めてのキスは涙の味だったな…。2度目も3度目も…ユウに無理やりキスされて…怖くて悲しくて、泣いたっけ…。)

もしかしたらあの時、ユウは伝えられないレナへの気持ちが抑えきれなくて、自分の口をレナの唇で塞いだのかも知れない。

(不器用だけど強引なんだもんな…。)

レナは少し笑って、ユウの唇に自分の唇をそっと重ねる。

(今は…ユウとのキスは、甘くて幸せ…。)

もう一度レナが口付けると、ユウが突然レナを抱きしめた。

「えっ?!」

レナが驚いて声を上げると、ユウは抱きしめる腕に力を込める。

「オレの寝顔そんなにじっと見つめて、何考えてんの?」

「起きてたの?!」

「うん。レナが起きる前から。」

「えぇっ?!ずっと寝たフリしてたの?!」

「うん。でもレナがあんまりじーっとオレの顔見てるから、なかなか目を開けるタイミングが掴めなかった。」

(は…恥ずかしい…。)

恥ずかしさで真っ赤になったレナの頬に、ユウは優しく口付ける。

「おはよ、オレのかわいい奥さん。」

「おはよ…。意地悪な旦那様…。」

ユウは笑いながらレナを腕枕して、優しく髪を撫でる。

「で、何考えてたの?」

「……内緒。」

「えっ、オレに言えないようなこと?」

「違うよ。ユウのこと考えてたの。恥ずかしいから、何考えてたかは内緒。」

「聞きたいな。」

ユウはレナの額に優しく口付ける。