ユウは暮れていく神戸の街に明かりが灯るのを見つめている。

「物心ついた頃にはいつも隣にレナがいて、知らないうちにレナが一番大事になって…気が付いたら、どうしようもないくらいレナを好きになってた…。どこが良くて好きになったとかじゃないんだ。レナの存在そのものが、オレにとっては大切だから。」

「うん…。」

「あ、でも好きなところはいっぱいあるよ?一番はどこかって言われたら決められないし、全部言おうと思ったら何時間かかるかわからないけどな。」

「じゃあ、今度ゆっくり聞かせてね。」

レナが少し照れ臭そうに笑みを浮かべると、ユウはレナの唇に優しくキスをした。

「今はレナがいない人生なんて絶対考えられないし、レナといつも一緒にいられることも、離れるのが寂しいって言えることも、幸せだって思えるんだ。」

「うん…私もユウがいてくれて良かった。ユウがいなかったら、こんな気持ち知らないまま人生終えてたかも知れないね。」

「他の人とは考えないんだ。」

「考えて欲しい?」

「…いや、ダメだ。やっぱりレナには、オレだけ見てて欲しい。」

レナは窓の外の景色からユウに視線を移して、じっとユウの目を見つめる。

「私には、ずっとユウだけだよ。ユウこそ、もうよそ見しないでね。」

「しないよ。夕べも言っただろ?」

「うん。信じてるからね。」

二人はそっと唇を重ね、肩を寄せ合って、暮れていく神戸の夕景を眺めた。

「また一緒に来ような。」

「うん。一緒にね。」