「告白もしないうちに失恋ですね。」

「告白しても失恋だからね。」

タクミと相川はお互いに苦笑いを浮かべながらグラスを合わせてビールを飲み干した。


「相川くんは今夜どうするの?どこか泊まるとこ、予約してる?」

「いや、本当は今日の新幹線に乗って東京へ帰る予定だったので。今からでも予約できるかな…。」

「あーちゃんは?」

「明日、旦那と神戸を観光するって、駅の近くにビジネスホテル予約してるみたいですよ。」

「ふーん…。じゃあさ、今夜はゆっくり飲もうよ。相川くんも今夜はこっちに泊まるんだからさ。」

「オレ、宿は取ってないけど…。」

「あーちゃんの予約したビジネスホテルに泊まればいいじゃん。」

「えっ?!」

「二人は夫婦なんだから、オレたちにまで気を遣わなくてもいいのにね。ここに来てわざわざ別の所に泊まらなくても、二人で泊まれるとこ1軒くらいは見つかるでしょ。明日の晩までにホテルに帰れば移動に差し支えないし、またしばらく離ればなれになるんだからさ。二人っきりにしてあげたいじゃん。」

「なるほどね。」