ライブ終了後、レナと相川はメンバーに誘われ食事に出掛けた。

隠れ家っぽい雰囲気のダイニングバーで、ライブの話や他愛もない話をしながら、おいしい食事とお酒を楽しんだ。

レナから少し離れた場所に座っている相川の隣に、タクミが座ってにこやかに話し掛けた。

「相川くんお疲れ様。」

「お疲れ様です。」

「相川くん、あーちゃんのこと好きでしょ?」

「え?」

タクミの唐突な質問に相川は少し驚いた。

「実はバイト一緒にしてた頃、片想いだったとか?」

相川はグラスを傾け苦笑いをする。

「わかりますか?」

「うん。あの子、ものすごーく鈍感だからね。すぐそばに自分を想ってくれる人がいても、全然気付かないんだ。」

「旦那しか眼中にないですからね。」

「そうなんだよねぇ。」

「まぁ…レナの幸せそうな顔見てたら、それでいいかって思ってますよ。」

「いい男だね。」

「全然気付いてもらえないですけどね。」

「そうなんだよねぇ…。それでもなんか、あの子の幸せそうな顔見てるだけで自分まで幸せな気持ちになるのは、なんでだろうね?」

「タクミくんもいい男だからじゃないですか?それとも、旦那がいい男なのかな。」

「少なくとも、あの子にとってはユウが一番いい男ってことだね。」