「ユウ、ここはやっぱりお姫さまだっこで!!」

「ええっ?!」

「だって、あーちゃん動けなさそうでしょ。」

「……オマエなぁ…。」

ユウは仕方なくレナを抱き上げると、大歓声を背に、レナをステージ裏まで運んだ。

「レナ、大丈夫?」

ユウがレナをそっと下ろして、顔を覗き込む。

「ああっ…!う、うん…。」

まだ動揺しているレナの頭を優しく撫でると、ユウは優しく笑った。

「なんか、ごめんな。オレもビックリした。」

「う、うん…。大丈夫…。」

「終わるまでここにいて。ここから写真撮っててもいいから。」

「わかった…。」

とてもじゃないけどステージ前には戻れないと思い、レナはステージ裏からのみんなの様子を撮ることにした。

「じゃ、行ってくる。」

ユウはレナの頭を優しくポンポンと叩くと、ニッコリ笑った。

「うん、いってらっしゃい…。」

レナもようやく落ち着き、微笑み返した。

ユウがステージに戻ると、メンバーたちはこぞってユウを冷やかした。

「遅いぞー、ユウ。」

「まさかチューでもしてたんじゃ…。」

「するかーっ!!」

会場からはドッと笑いが起きた。

「さぁ、お待ちかねのアンコール行くよー!!」

タクミの明るい声で、アンコールの曲が始まった。

レナはホッとしてカメラを構える。

そんな様子を少し離れた場所から眺めていたケイトは、悔しそうに唇をかみしめていた。