撮影を終え、いつもより少し遅めに帰宅したレナは、夕飯を作り、翌日から家を空けるユウのために、着替えを鞄に詰めていた。

(明日からツアー先に行くのに、こんなに遅くなって大丈夫なのかな…。)

時刻はもう11時になろうとしている。

時計を眺めていたレナが、ため息をついて立ち上がった。

(お風呂、先に入っちゃおうかな…。)


お風呂から上がったレナが、脱衣所で体を拭いていると、玄関のドアが開く音がした。

(ユウ、帰って来たんだ…。)

レナが急いで髪を拭いていると、脱衣所のドアが開き、洗面所で手を洗おうとしたユウと目が合った。

(……!!)

レナは慌てて、バスタオルで体を隠す。

ユウは、そんなレナから目をそらし、黙って手を洗う。

(ユウ、私にはもう、興味もなくなっちゃったのかな…。)

ついこの間までは、レナが断っても“一緒にお風呂に入ろう”と言って甘えてきたり、レナの体を見たがっていたはずなのに、ユウはレナの方を見ようともしない。

(私が他の人としたって言ったら、見たくもなくなっちゃったんだ…。)