翌朝、レナはユウの温もりの中で目覚めた。

(ユウ…。)

夕べ、バーでヒロとタクミと一緒にお酒を飲んでいたことは覚えているが、いつの間に、どうやって戻って来たのだろう?

(全然覚えてないって…どういうこと?)

何も思い出せないことを不思議に思いながらも、レナは目の前にあるユウの寝顔を見つめる。

(ユウがこうしていてくれるだけでいい…。)

もっともっとユウのぬくもりを感じたくて、レナはユウの胸に顔をうずめる。

「レナ…。」

ユウが起きたのかと、レナはユウの顔を覗き込むが、ユウは寝息をたてている。

(寝言…?)

こんなふうにユウの温もりの中で目覚めたのは久し振りのような気がした。

(ずっとこうしてたい…。)

ユウも同じことを言っていたなと思いながら、レナは小さく微笑む。

(こんなふうに、大好きな人のぬくもりを感じながら目が覚めるって…幸せなことだな…。)

一緒に暮らすようになって、当たり前になりかけていた。

それを“当たり前”と言えることは、とても幸せなことなんだとレナは思った。

(ずっとこうしてたいけど…そろそろ起きて仕事に行く用意をしないとね…。)

レナはユウを起こさないように、そっとユウの腕の中から抜け出した。

シャワーを浴びて身支度を整え、いつものように朝食の用意をした。

軽く朝食を済ませて、レナは仕事に出掛けた。