新婚の定義──嘘つきな君と僕──

ユウは喫煙所でタバコを吸いながら、さっきのことを考え込んでいた。

(またレナにあんなところ見られた…。不可抗力とは言え、もう他の子とそんなことしないって約束したのに…。)

いくら仕事であっても、自分ならレナが他の男とキスをしているところなんて見せられたら、きっと耐えられないだろう。

実際に見ていなくても、もしかしたらと思うだけで、おかしくなってしまいそうだ。

(オレが好きなのはレナだけだ…。)


ケイトのことはキライではなかったけれど、恋をしていたわけでもないとユウは思う。

ユウにとってケイトは、音楽仲間で、気の合う友人で、妹のようでもあった。

そんなケイトをお酒の勢いに任せて抱いたのは、レナのいない寂しさを埋めてレナの夢を見させてくれる相手が欲しかったから。

ただ、それだけのことだった。

(でも、もしオレがケイトの立場だったら…?レナが他の誰かを想いながらオレに抱かれていたとしたら…。オレの知らない別の男と結婚したから、オレのことはもう要らないと言われたら…。)

考えるだけでも死んでしまいたくなる。

そんなことをレナに言われるくらいなら、その手でオレを殺してくれと言うかも知れない。

(オレ…最低過ぎる…。自分がされたら耐えられないようなこと、してきたんだ…。)


もうどうしていいのかわからなくて、ユウは膝に肘をつき、両手で顔を覆った。

(オレは一体、どうすればいい?)