新婚の定義──嘘つきな君と僕──

18歳の時にたった一人で決めて、誰にも言わずロンドンへ渡った時には、レナを傷付け泣かせた自分は、もう2度とレナには会えないと思っていた。

10年間、レナとは離ればなれで1度も会わなかった。

どこで何をしているのかもわからなかった。

それが1年前、思いがけずレナと再会して、やっぱりレナが好きだと、ずっと忘れようとしていたレナへの想いが、抑えきれなくなった。


(つらいこともいろいろあったけど、今レナと一緒にいられて本当に幸せだな…。)

レナの後ろ姿にユウが目を細めていると、不意にレナが振り返る。

「あ…あーっ!!あっち向いててって言ったのに、ずっと見てたの?!」

レナがユウに駆け寄って、真っ赤な顔でユウの胸をドンドン叩く。

「ずっとじゃない…今、チラッと見ただけ…それより痛いよ、レナ。」

「ホントに?体拭いてる時とか…裸の時は見てない?」

レナはユウの胸を叩く手を止め、じっとユウを見上げる。

(めちゃくちゃかわいい…。)

「見てないよ。…見たかったけど。」

「もう!!」

「そろそろ予約の時間も終わるし、行こ。」

「ん…素敵な庭園、あったね。行ってみたいな。」

「うん。」