新婚の定義──嘘つきな君と僕──

「ユウさん、目線こちらで。」

「ハイ…。」

レナは何事もないような顔をしてシャッターを切る。

「それじゃ、次はお二人向かい合わせで、見つめ合う感じでお願いします。」

(ええっ?!もう勘弁して…。)

ユウがうろたえていると、ケイトはユウの首に腕を回し、抱きつくように、更に体を密着させる。

「こんな感じでいい?」

「ハイ、いいですね。」

「ユウ、こっち向いて。」

ケイトがユウの頬に手を添える。

何も言わず、黙々とシャッターを切り続けるレナの様子に、ユウは泣きたくなった。

(もう…消えたい…。)

ユウが必死で表情を作っていると、ケイトは突然背伸びをしてユウの唇にキスをした。

(えっ?!)

ユウは慌ててケイトを押し退ける。

レナは黙ってその様子を撮り終えると、ファインダーを覗いたまま、誰にもわからないように一瞬、奥歯をかみしめた。

そして顔を上げて笑みを浮かべる。

「ハイ、お疲れ様でした。」

レナはその表情を崩さずに二人に背を向けカメラを置いた。

「ルミちゃん、次はトモさんね。」

「ハイ。」

レナはパソコンに向かって、今撮ったばかりのユウとケイトの写真を確認する。

表情を崩すことも、こちらを振り返ろうともせずに、淡々と仕事をするレナの背中を、ユウは後ろ髪を引かれる思いで見つめた。