ハサネ

父を裏切るつもりはない。
むしろここで裏切れば、家族兄弟を敵に回したも当然のことだ。
そんな恐ろしいことをするつもりはない。
それに父は、我が母が生む娘のためだけに生きているようなものなのだ。
それを邪魔されるわけにはいかない。
それをわかっているからには、ここで死神を仕留める必要がある。
ユリトが案内したのは、客間だった。
「お主、ここには貴様の父がいないのだが
どこに隠した。」
その言葉が言い終わると同時に死神は顔を後ろに振り返らせた。
しかし、その目の前には刀の鋭い刀身が見える。
「ここには父はおらぬ。貴様などに父の目の前に出す必要がどこにあろう!!」
こやつは馬鹿なのか…いやそれとも、本気でこの私に、勝てるとでも思っておろうか…この際、どちらでも構わぬが。
「良かろう。それがお主の運命だというのなら、見してもらうぞ若造。」
ケケと、ユリトが笑いその隙に死神が懐に鎌を振り上げる
その起動が読めていたのか、ユリトはふわりとそして素早く刀を入れる。がこれも死神は霧に体を変えすり抜ける。
焦って刀に力を入れすぎたユリト。
相手を嘲笑うかのように霧に変え避けて見せる死神
無意味な戦いは、いつ見ても面白い。
なぜなら、それを必死に食らいついて勝って見せたいと、思う心が目立ちすぎてこちらにも無意味なことがわからなくハラハラさせてくれるからだ。