罪なき元姫



「エヘヘ、今日は皆にお土産が……」



ダンッ――!!




嬉しそうに言葉を紡ぐ留愛を遮ったのは、壁に勢いよく蹴りをいれた翔だった。




その爆音に、留愛はビクッと肩をすくませる。




「……しょ「お前、毒蛾と繋がってんのかよ?あぁ?!」」



その気迫も感じられる翔の睨みに、何故か目を見開いて動揺する留愛。




「ぇ、なんで……」



目を泳がせながら、弱々しく発せられた声に翔が再び壁をおもいっきり蹴ると



「その様子だと…咲良の情報は本当なんだな。……見損なったぜ。」



冷たく言い放つ翔。




けど、誰もその言葉に否定はしなかった。




そう……




俺も……





留愛も。