「……っぶねぇ」
バランスを崩しそうになった私を瀬戸くんがゆっくりと自分の胸元へ引き寄せてくれる。
そして、トントントンと背中を優しく叩いてくれた。
子供をあやすようなその仕種に少しずつ乱れていた呼吸が整っていく。
「瀬、戸くん、ありがとう……」
瀬戸くんのお陰でだいぶ落ち着いてきた。
一人だったらきっと溺れていたと思う。
「足、つったのか?」
そっと身体を離した瀬戸くんが水中へと視線を落とし、そう問い掛けてきた。
うん、と頷いて、そっと見上げれば、薄茶色の瞳と目が合って。
いつも不機嫌なその瞳が少し心配そうに揺れていた。
「最後の最後にやっちゃった」
そんな顔をされると何だか申し訳なくなって、慌てて苦笑いをして誤魔化す。
「痛みは?」
けど、それがダメだったのか、眉間の縦皺が余計に深くなってしまった。


