瀬戸くんと、ふたりきり。



「連絡先。何かあったら電話でもメールでもしろ」

「瀬戸くん……」



逸らしたままの顔は少し赤らんでいて。

きっとこんな風に連絡先を渡した事などないのだろうなと安易に予想出来た。


恥ずかしそうな、というよりも気まずそうなその表情は瀬戸くんらしいと言えば瀬戸くんらしくて。



「ありがとう……」


やっぱり好きだな、と思った。


仏頂面だけど、

口悪いけど、

不良だけど、


心は、優しい。


だって、先生の補習を文句も言わずに引き受けたんだもん。


適当な理由を言って断ることだって出来たはずなのに。

指導中もスパルタだったけど細かい所まで丁寧に教えてくれた。



まだまだ下手くそだけど、ここまで泳げるようになったのは瀬戸くんのお陰。

優しい優しい瀬戸くんのお陰だ。



だから──



「瀬戸くん、ご指導よろしくお願いします!」



これからは自分の練習を頑張って。