瀬戸くんと、ふたりきり。




「ボーッとしてる暇があれば泳ぐ練習しろよ」




「………え?」


頭上に落ちてきた呆れ混じりの声に顔を上げれば、声と同様、呆れた顔をしている瀬戸くんがいて。



「なん、で……?」



驚いた。

来てくれるとは思わなかったから。



「何が。練習すんじゃねぇのかよ」



怪訝そうに顔を顰める瀬戸くんはいつもの瀬戸くんで。


……怒って、ないの?


朝あんなにも不機嫌だったのが不思議なくらいだった。

と言ってもいつも不機嫌だけど。



「……ん」

「え?」


不意に手渡されたのはクシャクシャになった紙切れ。

フイッと顔を逸らした瀬戸くんから視線を落とすと、そっとその紙切れを開いてみた。



「これ……」


開いた紙の中心には殴り書きされた九つの数字と、短い英数字。

見た瞬間、それが何だかすぐに分かった。