……めずらしい。今日はいない。
もしかして朝のことが原因で来てくれないとか……?
ありえる。
だって、瀬戸くんは一限目を終えた途端教室から居なくなったから。
ただサボっているだけなのか、それとも帰ったのか、私には分からないけど。
やっぱり、朝の態度で怒っちゃったのかな……。
誰もいないプールサイドを俯き加減で歩き始め、持っているタオルを大きく前後に揺らす。
熱されたコンクリート。
足の裏が刺激され、今すぐプールに足を突っ込みたい衝動に駆られる。
けど、何だか泳ぐ気にはなれない。
だって、水に浸かると嫌でも瀬戸くんを思い出してしまうから。
広いプールの真ん中で、魚のようにしなやかに泳ぐ瀬戸くんの姿。
日焼けした逞しい身体が水を纏い、太陽の光に照らされたその姿はどうしようもなく綺麗で。
今思えば、私はもうあの時に捕らわれていたんだ。
瀬戸くんに。
瀬戸くんの泳ぐ姿に捕らわれていた。


