瀬戸くんと、ふたりきり。



だから言ったんだ。


“先生、瀬戸くんに普通のテストを受けさせてあげて下さい”って。

“あたしはもう大丈夫です。一人で頑張ります”って。


そうしたら。


『分かった』


先生はすんなり頷いてくれた。

最後には“頑張れよ”と呆れた顔で頭を小突かれたけど。





先生にはバレてるような気がする。

瀬戸くんへの気持ち。


なんでかは分からないけれど。

なんとなく……そんな気がした。







ここ最近、毎日のように通っている更衣室。

この更衣室に通うのもあと五日で終わり。


瀬戸くんの指導を受けられるのは今日で最後だけど。




「………はぁ」


ダメだダメだ。今日ぐらいは何も考えずにいよう。


最後なんだから。

暗い顔なんかしてちゃダメだ。




────バシン。



「いっ……!」


心を入れ替えるため、思いっきり頬を叩いた私は、いざ出陣、と言わんばかりに気合いを入れて更衣室から出た。