瀬戸くんと、ふたりきり。




予想だにしていなかった先生の言葉に、素頓狂な声を上げる私と瀬戸くん。

そんな私たちを気にも止めずに、先生は満面の笑みで続ける。



「水沢、お前は瀬戸の指導で25メートル泳げるようになれ。以上!」

「ちょ……!以上って先生もうちょっと詳しく説明して下さいよ!」




私の右肩、瀬戸くんの左肩をポンッと同時に叩き、満足げに去って行こうとする先生を慌てて引きとめる。


もう、肝心なところは適当なんだから!




「あー、お前ら二人だけなんだよ、補習は。水沢は泳げないから。瀬戸は欠席で単位が足りない」


「……ちょっと待てよ。泳いだら単位取れんだろ?なんでわざわざ俺がこのチビを泳げるようにしなきゃなんねぇんだよ」


「ち、チビ……!?」




話したこともないのにチビ呼ばわりをする瀬戸くんにムッと眉を潜める。



悪かったわね、チビで!

どうせ145センチしかないですよーだ!


声に出して文句を言いたいけど、とてもじゃないけど怖すぎて言えない。