「きのう、は……」



応えなきゃいけないって分かっているのに、言葉が詰まってなかなか出てきてくれない。


なにか、応えなきゃ……。


そう思った時にはもう勝手に口が動いていた。



「ちょっと…体調が悪くて……、瀬戸くんに連絡したかったけど、その……連絡先知らなかったから……」



……嘘つき。

体調なんて悪くなかったくせに。


でも、こんな理由しか思いつかなかったんだ。




「────来い」


「ちょ……!」



突然引かれた手。

必然的に立ち上がった私は、無意識に机の端を掴んでそこに踏みとどまった。

必然的に瀬戸くんを引き止める形となり、瀬戸くんの足もその場に止まる。



「あ……」



振り返った瀬戸くんは当然不機嫌で。

不服そうな瞳で私を見下ろしていた。