顔を上げないという選択もあった。
けど、余りの威圧感にその選択肢は却下されてしまい、意を決して恐る恐る顔を上げてみる。
すると……
「……」
視線を上げた先には、仏頂面の瀬戸くんがいて。
その鋭い視線に、両肩がキュッと縮まった。
瀬戸くんの視線はまるで鎖のようで。
捕らえられたら最後、その力強い双眸から視線を逸らすことなど出来なかった。
「………」
何か言わなければいけないのは分かってる。
分かってるんだけど……
「……うわっ!瀬戸、お前いるんならいるって言えよな!」
どうしたらいいのか分からず黙り込んでいると、瀬戸くんの存在に気付いた圭祐が驚愕の声を上げた。
コントのように身体を仰け反らせた圭祐は見事に緊迫した空気を破ってくれて。
呆れながらもそれに安堵した。
圭祐のお陰で少し場の空気が和らいだ気がする。
と言っても、瀬戸くんの仏頂面は変わりないんだけど。
「なんで昨日来なかった?」
前振りもなく投げ掛けられたその言葉に、心臓がドクンと心臓が揺れ動く。


