瀬戸くんと、ふたりきり。



クラスメイトと軽くあいさつを交わした瀬戸くんは静かに歩き出した。

機嫌が悪いのか、一人になったとたんキュッと固く結ばれた唇。


普段もそうだけど、今日はまた一段と不機嫌らしい。



……なんだか話しかけにくい雰囲気。


そう思っていると、黒板前を歩いていた瀬戸くんが不意に顔を上げた。



「っ」


運が悪いことにパチッと目が合ってしまい、あわてて目をそらす。


あ……やっちゃった……。



後悔したときにはもうすでに遅く。

余計に話しかけづらくなってしまった。



今の私にはもう瀬戸くんを見る勇気はなく……


はぁ……どうしたらいいんだろう。




幸いなことに瀬戸くんの席は窓際の前から二番目で、私はその列の一番後ろだからこっちに来る可能性はない。


そう思っていたのに。


なんで……?


うつむいていた私の視界に映ったのは見慣れた上履き。

それが誰のものなのか、顔を上げなくても分かった。


だって、頭上から感じる威圧感が半端ないから。