「……なるほどな。そういうことがあったのか」
ひと通り話し終えた私は、ふたたびペタンと机に突っ伏して、はぁ、とため息を吐き出す。
「……瀬戸くんってそんなにすごいの?」
「なんだよ。お前ホントになんも聞いてねぇんだな」
「………」
聞いてたらこんなことになってないってば。
「すげーもなにも、アイツに敵うやつは千堂さんぐらいしかいねぇんじゃねぇの?アマチュアではトップクラスの腕だよ」
そう言う圭祐はなんだか自分のことのように嬉々としていて。
アイツは将来絶対プロになるだの、あの高さはもはや神業だの、次から次へと称賛の言葉が飛び出してくる。
力説とでも呼べるその言葉の数々に、私は「そう…」としか言えなかった。
結局なんの答えが出ないまま時間だけがすぎていき、もうすぐ朝のホームルームの時間。
「帆夏……」
「うん、大丈夫。今日も遅刻だろうから」
目の前にいるのは、圭祐じゃなく美来ちゃんで。
さっきまで目の前いた圭祐は、美来ちゃんの隣に移動し、貴也と楽しく談笑している。
話し聞くだけ聞いて貴也の方へ行くなんて、ホント薄情なヤツだよ。


