嫌だよ。
瀬戸くんと離れたくない。
やっと自分の気持ちに気付いたのに離れたくないよ。
……でも。
瀬戸くんの邪魔もしたくない。
瀬戸くんがどれだけサーフィンが好きか知ってる。
千堂さんに憧れてて、千堂さんを越えたいと思ってることも知ってる。
だから、瀬戸くんの邪魔はしたくない。
私は、瀬戸くんのサーフィンしてる姿が大好きだから。
だから……
離れるよう。
瀬戸くんのために離れる。
でも、離れたくないという想いが心のどこかにあって。
「どうしたらいいの……」
複雑な感情が絡まり合って、もう正常な判断が出来なくなっていた。
こんな感情のまま瀬戸くんと逢えない。
逢ったらきっと泣いてしまうから。
そう思った私は、抱え込んでいたバックを強く握り締め、その場から走り去った。
“瀬戸くん、ごめんなさい”
そう、心の中で謝罪をしながら。