「………」
瀬戸くんが……大会に出る?
そんなの聞いていない。
いつ? どこで?
頭の中でグルグルと回る言葉の数々に混乱して、自然と目線が下へと下がっていく。
「はぁ……」
うつむいた私の耳に、女の人のため息が届いた。
「来週の日曜日、アマチュアで最も大きな大会が開かれるの。大晴くんはそれに出るのよ。
千堂さんがアマチュアとして出る最後の大会、大晴くんは千堂さんに勝つために必死で練習してきたの」
……千堂、さん?
アマチュアで最後ってもしかして……。
“あの人すげー人なんだぜ?アマチュアの大会で何度も優勝して、もうすぐプロになるんだ”
思い出したのは、この海で瀬戸くんと初めて会ったときに聞いたあの言葉。
もしかして……。
確信した。
あの人が瀬戸くんがあこがれてやまない“千堂さん”なのだと。


