「……怒ってねぇよ」
「怒ってる」
「怒ってねぇ」
「怒ってる!イライラしてるもん……」
私が子供みたいに拗ねたから呆れた?
馬鹿って言ったから怒った?
「……馬鹿って言ってごめんなさい」
もう、言わないから。
だから……
「謝るなよ。こんな所でやった俺が悪かった。だからお前は謝るな」
「瀬戸くん……」
ホントに、怒ってない?
そう小さく問い掛けると、瀬戸くんは罰が悪そうに顔を背け、
「虫除けの為にこんなとこでキスした俺が悪ぃんだよ」
聞き取りにくいほど小さな声でそう言った。
「え?虫除け?」
何それ?
素頓狂な声でそう問い掛ければ、呆れたように溜め息を零した瀬戸くん。
「お前、結構色んなやつに目付けられてんの」


