「どうした?アイツに何かされたのか?」
鼓膜を撫でるのは険しい表情からは想像出来ないほど優しい声色。
その声にフルフルと首を振ると、更に強く抱き締めた。
「じゃあ──」
「瀬戸くん、ありがとう」
「あ?」
「私、瀬戸くんがくれたあのメモのお陰で一人でも練習することが出来たの」
「……っ、お前それ……!」
荒々しく私を引き離した瀬戸くんが驚いた顔で私を見下ろす。
そしてその後、何かを察したかのように視線を上げたかと思うと、
「……チッ、アイツ言うなって言ったのに」
友達と喋っている圭祐に向けてそう吐き捨てた。


